3つの植木鉢

3つの鉢に、

同じお花の種をひとつずつ蒔いた。

 

ひとつめの鉢には

愚痴、悪口を言ってきかせた。

 

ふたつめの鉢には

笑顔で毎日話しかけ、愛情たっぷり注いだ。

 

みっつめの鉢には

お水はあげた。けど、ほっておいた。

 

もう分かりますか?

 

植物・動物は人間よりも繊細で純粋なぶん、

反応が素直なんだろうな。

 

....でも人間だって、一緒だよね。

 

* * *  * * * * * * * * * * * * * *

 

このエピソードを紹介しているのは神経科学者/カイロプラクター/作家の

 

Dr. Joe Dispenza氏。同氏の娘さんの体験談だ。

 

同氏はインタビューの中で、

 

『私たちそれぞれが持つ、無意識に繰り返していると言われる人生の行動パターン

=心の癖を見直し、より良い健康と幸せをつかむ為に、どのように脳の神経回路を組み替えていくか。』という興味深いお話を、

量子物理学・脳科学・生物学・遺伝学の観点から語っている。

 

その素晴らしいお話の中からもう少し。

 

”私たちの先祖の時代、野生の中で生きていたときから我々が本能として持っている、いわゆる’戦うか逃げるかの反応’ (Fight or Flight response) =交感神経。

何か大きな獣が目の前に現れたときに、脳が緊急事態発生の危険信号を送り

運動機能が全開で働く。正に戦闘態勢。現代の私たちに取ってその対象はもちろんトラやライオンとの遭遇でなく、日々のストレス。

 

”問題なのは、あまりにストレスに溢れた状態が続く為に、緊急事態発生の信号が常にonになってしまっていること。私たちは一種の麻痺状態にある” という。

 

”本来なら、心ない上司の言葉、人の常識のない行動などといった何かしらのきっかけによってボタンが押され、苛立ち、怒り、悲しみといった感情が湧き起こるが、このきっかけのボタンが押されずとも、同じ状況を繰り返す(毎朝同じ電車に乗り、同じ会社に行き、同じ上司の顔を見て、同じ仕事をこなす)というパターン化された事実だけで、自動的にネガティブな感情に支配され続け、そしてそのことに自分で気づいていない、という事実。いわば脳にとってみれば24時間ライオンと同じ檻に入っているような状態だ。そんなストレス下で生まれる自らのネガティブな思考・発言により自分の脳を洗脳し、神経回路がシステム化され、無意識に同じパターンの選択を繰り返し人生をかたどっていく。同時にそれが身体をも蝕んでいく。”

 

ちなみにヨガではこれをサンスカーラ(samskara 行・ぎょう)という。

記憶・残存印象。

 

では、苛立ち、怒り、悲しみ、といったネガティブな感情そのものが悪くて、

持ってはいけないのか?そんなの無理だ。

 

ー違う。そうではない。と氏は答える。

”感情を持つことは生きることの大切な一部。感情を抱くことが悪いのではなく、無意識にそれに支配されることに問題がある” という

 

”人がストレスを感じ、前述のように交感神経が働くと、アドレナリン、コーデゾールといったストレスホルモンが分泌される。しかしこれらの化学物質が実際に体内で反応するのはたったの2分。

喧嘩の途中で ”今怒ってるよね?分かる、わかる。でもさ、怒るのやめて?”

と言われたらどんな反応するだろうか?

たいていの人は、”いい加減にしてよ、私まだ怒っているんだから”と逆上するだろう。

でも氏は、”それは嘘だ” と笑う。

”そこで怒りの感情に歯止めをかけられなければ、それは正に先に言った交感神経・ストレス反応の麻痺状態にある証拠である” と。

 

ドキッ。

 

意識下、無意識下あるいは潜在意識下で引きずるその感情は...

 

「ねぇねぇ、なんでずっとそんなに機嫌悪いの?」

「実はさー、10日前にこんな事があって。。」

その人の気性、性格と呼ばれるようになっていく。

 

「だって、10年前に(から)こんな事があって。。」

その人の人格と呼ばれるようになっていく。

 

「だって、今までずーっとこんな事の連続なんだもん」

その人の人生そのものになっていく。

 

という。

うっ。。。

 

ネガティブな思考がストレスとなり、身体をも蝕むのなら、

その逆だって言えるのではないか。

ポジティブな思考が私たちを救う。変えていく。

 

生物学者のBruce H. Lipton氏も別のインタビューで同じ事を語っていた。

”正に私たちの前向きな思考、優しい感情が強い健康な細胞を育てる” と。

”DNAによってあらかじめ細胞の将来が決まっている訳ではなく、我々自らの思考こそが栄養となって、細胞の潜在能力を左右し、育てていくのだ” と。

 

 

科学者や生物学者、ドクターが、今やこうして科学的に証明するこの概念を、

何千年も前からヨガ哲学は説いている。

 

ヨガスートラ 第2章33項

"VITARKA BADHANE PRATIPAKSHA BHAVANAM"

「否定的想念によって攪乱されたときは、反対のもの【肯定的な想念】が念想されるべきである。」

"Replace negative thoughts to positive actions."

 

”日々に変化をもたらすこと。パターンを打ち破る為に、

新しい事に挑むことが大切” という。

 

常に挑戦することを忘れずに、新しい事を取り入れる。

ー響きは簡単なようでとても勇気のいることだ。

 

まして家族や仕事、といった私たちに一番影響を与える大きな環境は

簡単に変えられる/変えるべき/変えるもの、ではないし。

 

’新しい事’というのは何もそんな大それた”改革”でなくてもいいのだと思う。

 

いつも決まって乗る電車の定位置をずらしてみる。

....でも乗り換えに便利だし。ー私今日そんなに急いでたっけ?

 

いつもバスで行く場所に自転車で行ってみる。

ーだって今日はお日様が気持ちいいしね。

 

私朝苦手だからな。

ー夜更かしして終わらせるかわりに、1時間でいいから早起きしてみる。

 

昔そうだったから、前回こうだったから、今日もきっと、明日もどうせ..

麻痺した神経回路が作り出す、もう勝手に予期されている、

架空の未来。私の虚像。

 

ちいさな変化や挑戦でも、

’今’のこの経験は、’今’の自分だけのもの、

という事を教えてくれるはず。

可能性にオープンでいれば。

 

オープンでいる、と言えば、

ちょうど前記事のヨギー・Aadil Palkhivala氏の言葉と重なるなぁ。

正にそれがヨガの姿勢。

 

あるいはそれは、

日々同じ事を行う中にも、

自らが’選択して’これを行っているんだという意識を自覚すること。

その先にある、目的、意図を今日もまた自問すること。

そういうことかもしれない。

決まりきったことだから、いつもそうしてるから、みんなもそうだから、

とただ ’なぞる’ のではなく。

 

過去に生きるのではなく、’今’の私と’今’を生きている、という実感。

ヨガで良くいう”今この瞬間と繋がる”ということ。

 

 

そしてそうする事が、自分の選択ー

人生に’責任’を持つ、

ということにも繋がるのだろう。

そうやって自覚を持って積み重ねていった選択なら、きっといつだって堂々と胸を張っていられるはず。他人のせいにしないし、

他人が何と言おうと気にならない。

今の自分が過去の自分を責める事はないし、

未来の自分に恥じる事もない。

 

 

 

インタビューを見ながら、そんな事を考えていた。

 


Dr. Joe Dispenza氏

〈新作著書・紹介〉

Breaking the Habit of Being Yourself

~How to Lose Your Mind and Create a New One~